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AFT-800

1. AFT-800とは?

Autonomic Nerve Function Testで安定状態と負荷検査を通じて変化の程度を把握し、特に心血管自律神経系機能異常を早期に診断できる検査です 姿勢変化による心拍数変化と深呼吸後の心拍数変化を通じて、主に副交感神経である迷走神経の機能を観察し、姿勢変化後の時間による起立性血圧検査では、交感神経の機能を評価することにより起立性低血圧検査と 心血管自律神経機能を診断するための検査です。


また、バルサルバ負荷による自律神経系を様々な方法で検査することができます。さらに、成人の場合、慢性疲労患者や小児青少年からも頻繁に見られる起立時に頻脈症候群(POTS - Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome)も一緒に観察することができます。

2. AFT-800の検査種類と検査方法

1) 深呼吸後の心拍数変化検査(Deep Breathing)
横になった状態か30度ほど倒したベッドので、毎分6回の呼吸を1分間行います。呼吸中、ECG上のRR間隔は吸気時に短くなり、呼気時に長くなります。すなわち、吸気時に心拍数が速くなり、呼気時に心拍数が遅くなります。

1.1) 一度呼吸中に発生する最大、最小の心拍の差を求めて結果値を求めます

1.2) RR間隔の最大値と最小値のRatioで表現して表示します

Ratioの各年齢別正常基準値は、以下のように糖尿神経病症学会で提示された指針に従っています。

2) 直立後の血圧の変化検査 (Supine-Upright血圧の変化) : 傾斜テーブルを使用します。
2.1) 起立性低血圧の状態を把握し、自律神経系の機能を評価する上で、重要な検査で仰臥位で起立時の血圧の 変化を測定します。正常な成人ならば、横になった状態で突然起きても血圧はそのまま維持。

2.2) 起立性テーブルの検査 (Tilt Table Test)
Supine状態で5回Upright状態で1分間隔で10回以上測定することを推奨し、血圧の急激なダウン症状が見えたら 横になって1〜2回測定します。収縮期血圧の低下の程度を観察 正常な起立性血圧変化と重度以上の血圧変化があるかどうかを測定 主に収縮期血圧は20mmHg以上の差がある場合、または拡張期血圧の変化が10mmHg以上の差がある 場合には、グラフ上に異常バーを表示する。

起立傾斜テーブル検査をする途中、めまいや気持ち悪くなりSyncope(失神)の症状が現れたらすぐに検査を中止し、
テーブルを下げてから安定を取らせる

2.3) POTS (Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome)
血圧測定と同時に平均心拍数(MHR)も一緒に測定します。血圧減少患者の代償機構としてPOTSが現れること もあり、また起立時頻脈症候群(POTS)は慢性疲労患者や小児青少年でも多く観察されます。 主に慢性疲労 患者や小児で観察され、起立時の血圧は正常や心拍数だけ増加する場合によく観察される症状です。

3) バルサルバ (Valsalva)による心拍数の変化と割合
3.1) 機器に装着されたホースにmouthpieceを挟み、まず息を吸ってから40mmHgの圧力まで吐きながら15秒間維持 します。
その後20秒間~1分ほど待機します。その15秒間、40mmHg圧力をかけている間の最小RR intervalと その後の状態の20秒間~1分間の最大RR intervalを測定して比較します。(中断後の最長RR interval)/(Valsalva maneuver中の最短RR interval)。

3.2) 検査方法
- 座った状態で患者に息を大きく吸い込んだ状態で15秒間圧力計の数値が40mmHg以上になるように圧力計に 接続されたチューブを通して息を強く吐き出すようにすることでバルサルバ検査中に4段階にわたって血圧と心拍数が 変化することになります。

- バルサルバ検査における心拍数の変化は、主に副交感神経系の活性度を反映します。検査中に心電図を 記録しながらRR間隔を測定し、最長RR間隔を最短RR間隔で割った比をバルサルバ比といいます。

- 正常な場合は比率が1.2以上で1.2未満の場合、自律神経系異常があると判定します。

- 短い時間の変化を正確に見るために3~4回繰り返し検査することが必要です。

4) 起立後30:15心拍数の変化
正常な人が横になった状態で突然起きると心拍数は初期に早くなって徐々に減少する傾向が見られます。仰臥位から起立状態に姿勢を変えた時の心拍数の変化を観察する検査す。ECGで30回周りのRR間隔(最も長いもの) / 15回周囲のRR間隔(最も短いもの)の割合(30/15ratio)を 求め、この数値を副交感神経系の活性度を反映する指標として用います。

5) 心拍数の変化(Heart Rate Variability) : 座った姿勢で測定

6) 姿勢変化による心拍変動検査(HRV負荷検査)
6.1) HRV負荷検査の必要性
HRV安定状態の変異度を通じて、主に機能異常や慢性疲労や頭痛、めまいなどを伴う自律神経系の全体的な 状態を観察することができます。しかし、特に糖尿病患者や神経障害患者では、安定した状態のHRVの急激な 低下を示すため、姿勢変化によるHRV負荷検査を通じて反応度を見るための検査です。HRVを用いて自律神経の 活動を評価するためには、自律神経系に負荷を与えて負荷前と後を比較する負荷試験方法と特定の状態で一度 測定した信号を分析する方法があります。自律神経系の活動と反応を評価するために、原則として負荷試験を 実施するのをお勧めします。

6.2) 負荷検査の有用性
糖尿病の場合、特にそれに関連する合併症が非常に重要な意味を持っているため、Ewingらによると、糖尿病患者 における心拍数の可変性の減少の程度は病気の進行の程度、患者の年齢などに比例し、心拍の変動が減少した 人の場合は死亡率が高いことを明らかにしました。また、糖尿病患者における心拍数の可変性の測定は、自律 神経系病変の診断や予後予測において非常に重要な価値があり、特に症状のない自律神経以上の早期診断に 有用な価値があると報告しました。

糖尿病の場合、自律神経不全が最初に心臓に向かう迷走神経伝導に侵入し、交感神経性輸出経路は疾患 過程の後半に障害を受け、糖尿病性神経障害におけるHRVの時間範囲分析パラメータの減少は悪い予後を 示唆するだけでなく、臨床症状より先行して現れることが知られており、自律神経異常症状がない糖尿病患者でも LFとHFの絶対パワーが減少すると報告されました。

正常な人の場合、姿勢変化によるHRV変化は一般的にある程度反応することが健康であるという意味を持って いますが、安定状態の心拍数可変性の減少程度は疾患の進行程度、患者の年齢などに比例し、心拍変動が 減少した人の場合、死亡率が高いことを明らかにしています。

6.3) HRV姿勢変化による負荷検査時のパラメータ有意な変化
正常な場合、座った姿勢(安定時や横姿勢)でHRV結果と直立姿勢でのHRV結果を比較すると、HRVパラメータ で心拍数とnormalized LF、LF/HF ratioは増加し、SDNN、TP、HF、normalized HFは減少します。

6.4) CanRisk index (Cardiac Autonomic Neuropathy の Risk 指数)
国内5つの大学病院で研究した結果、心血管自律神経の異常をHRV負荷検査の反応度に応じたパラメータ別に 総合分析して指数化した数値です。Can Risk indexのSpecificityは、2型糖尿群と糖尿病障害群との比較で86.2%の有意性を有します。

3. 心血管系の自律神経障害と検査の有用性

自律神経は体の全体的に均等に分布しており、主に内部臓器の機能を調節する役割をします。したがって、自律神経障 害は皮膚から始まり、胃腸関係、心血管系、泌尿生殖系など、体のすべての部位に問題が生じることがあり、非常に多様 な臨床面を見せることになります。特に糖尿自律神経症の症状がある場合、心筋梗塞症や心臓不整脈、脳卒症などに より死亡のリスクが高まるとされています。

自律神経障害の一般的な形態で心拍数の調節と血管運動の障害を引き起こします。初期には、深呼吸または運動時の 正常な脈拍数の変動が消え、安定時に頻脈が観察されます。運動時に心拍数が増加せずに固定されていると、心臓脱 神経を意味し、致命的な不整脈の危険性が大きくなります。その他、夜に血圧が上がり、早朝に血圧が落ち、これにより 起立性低血圧の頻度が高くなり、運動による心拍数や拍出量の増加がなく、運動能力が低下したりします。

心血管系自律神経障害に対する検査で呼吸による脈拍の変化としては主に副交感神経である迷走神経の機能を、起立性低血圧検査と血圧上昇検査では交感神経の機能を分析できます。最近使用されている24時間心拍変異の減少 は、心臓自律神経機能に非常に敏感な方法であり、標準反応検査に先立って機能不全を診断するのに良い方法です。

1996年以降、心拍変異検査はHRVに関する研究と調査が本格化し、HRVを利用した様々なテーマの論文と事例が発表 されました。特に心臓突然死(Sudden cardiac death)などの疾患とHRVとの関係に関することが報告されており、現在は 心臓を支配する交感神経と副交感神経の活動を量的に評価し、自律神経系バランスを定量化できる有用な方法だと紹介されています。